足場には様々な種類があり、工事現場に応じて最適な足場を組み立てなければいけません。足場を組み立てる作業を行うためには特別教育を受ける必要があります。このコラムでは、足場組立の特別教育を受けることのメリットについて詳しく紹介いたします。
目次
足場特別教育とは
足場特別教育、または足場の組立て等特別教育とも呼ばれる資格は、足場の組み立てや解体などを行う作業員に必要なものです。足場組立に従事する作業員は、この特別教育を受講する義務があります。特に吊り足場や張出し足場以外のあらゆる高さの足場を組む人が対象です。
足場特別教育が必要とされる背景には、建設業における足場に関連する事故が多発している事実があります。足場は高所作業を行うために必要な設備でありながら、墜落や組み立ての不備による事故が多発し、屋根での作業よりも事故が多いという現実があります。
足場特別教育と足場の組立て等作業主任者技能講習の違い
足場特別教育は「作業者の安全衛生教育」であり、足場の組立て等主任者技能講習は「足場の組み立て作業の指揮監督者を養成するための講習」と資格自体が異なり、高さ5メートル以上の足場の組み立てや解体、変更作業には、作業者に指示を出すための必要な知識を学ぶ講習です。
作業主任者技能講習を取得済みの場合は有資格者と判断されるため、特別教育を受講する必要はありません。
労働安全衛生法第6条15号によれば、高さ5メートル以上の足場の組立て、解体、または変更作業を行う場合、事業主は作業主任者技能講習修了者の中から作業主任者を選任しなければなりません。
労働安全衛生法 第6条15号
つり足場(ゴンドラのつり足場を除く。以下同じ)・張出し足場または高さが5メートル以上の構造の足場の組立て、解体又は変更の作業を行う場合、事業主は足場の組立て等作業主任者技能講習修了者の中から作業主任者を選任しなければならない。
※作業主任者の選任が必要な業務は「作業主任者 選任業務一覧表」にて確認できます。
足場特別教育資格の取得方法
足場特別教育の講習は、足場作業に従事しているかしていないかで講習の種類が異なります。平成27年7月1日までに足場の組立等の業務をしていた方は、講習時間が3時間となります。
カリキュラム | 時間 (未経験の場合) |
※短縮教育の場合 (従事している場合) |
足場作業及び作業の方法に関する知識 | 180分 | 90分 |
工事用設備、企画、器具、作業環境などに関する知識 | 30分 | 15分 |
労働災害の防止に関する知識 | 90分 | 45分 |
関係法令 | 60分 | 30分 |
これらの科目を受講した後、足場特別教育の資格取得となります。3時間の短縮講習を受ける場合、事業者の経験証明書が必要となるため注意しましょう。
足場特別教育の受講方法
足場特別教育の受講は、機関や団体で開催されています。
- 建設業労働災害防止協会の各都道府県支部
建設業の労働に伴う災害防止を目的として設立された団体であり、各都道府県に支部があります。
一般社団法人である労働技能講習協会は建設に関係する様々な講習を開催しています。
- Web講座
インターネットでの動画視聴やDVD・テキストを用い、自宅で講習が受けられるものです。講習会に行く必要がないため、日常業務が忙しい方におすすめの方法です。
各機関で受講する場合、受講終了時に修了証が受け取れますが、Web講座ではEラーニングシステム内で「最終試験」を受け、合格しないと修了証が発行されませんのでご注意ください。
まとめ
足場特別教育は、足場の組み立てや解体などの作業に携わる作業員に不可欠な資格であり、建設業界において安全性を確保するために重要です。特別教育の受講は、建設工事を受注する際の判断材料ともなり、建設現場での事故を減少させる助けになります。足場特別教育と足場の組立て等作業主任者技能講習は異なる資格であり、それぞれの役割と必要性が存在します。足場特別教育の受講方法は機関や団体によって異なり、自宅で受講できるWeb講座も利用できます。建設業における安全性向上と事故の予防に貢献するため、足場特別教育の受講を検討しましょう。